頼りないぼくの頭




考え方の違いとでも言うのか、スウェーデンはまじめな顔をしてとても甘やかしてくれたり、やさしくしてくれる。それが彼の普通なのかは知らないが、わたしはあまりに自然に繰り出されるそれらの行為に赤面してしまう。いっしょにいるのは理由どうこうよりも「そばにいたい」という気持ちが強く現れているからだけれど、心臓がどきどきと動きすぎて後になって疲れにもにた幸福感でいっぱいになる。


そんな彼、スウェーデンがある時とても気まずそうに視線を泳がせていた。彼にしては珍しく取り乱しているようにも見え、どうかしたのか、とわたしは尋ねてみた。


「あの、さっきから、どうしたんですか?」
「ああ・・・ん」
「ええと、わたしの顔に何かついてます?」



彼は驚いた後に、悲しそうな顔をした。そして、申し訳なさそうにぽつぽつと口を開く。


「あのな、
「はい」
「その・・・鼻」
「鼻ですか? 低いですけど、ちゃんと顔の真ん中についてますよ」
「そうでねして・・・。鼻がら、その・・・」

そこまで言われたらわたしでも察しがつく。素早く手のひらで顔を覆い、「ちょっと、お手洗いに!」と宣言してスウェーデンにはここで待っていてほしいと伝え、トイレを目指して全力で走り出す。







「もう! いつからだったんですか」

思わず語気が強まってしまう。ひるんだように彼は少しだけ体を丸めた。


「俺もさっき気ぃついたとこだげっちょ」
「そうだったんですか」



じゃあいいですよ、と伝えると、ほっとしたように肩から力を抜いたが、まだ目を合わせようとしてくれなかった。



「悪がったな」
「いいえ、こちらこそ。お見苦しい姿をお見せしてしまってすいませんでした」
「どうせば、おめぇさ恥かがせねぇが考えてたんだけども」
「そんなに気を使わないでください。普通に言っていただければ大丈夫ですんで」



うなずく声がふわふわと着地点を見つけられずにさまよっていた。彼の照れるポイントはよくわからないな、と思った。こんな形だけれど、取り乱すスウェーデンが見れたことに関してはいいことだった、ということにしておく。